胸焼けやゲップ、食欲不振、腹痛など消化器系の症状に悩まされる人は多くいらっしゃいます。胃がんや大腸がんなどの重篤な病気だけでなく、逆流性食道炎や過敏性腸症候群など、若い世代から高齢の方まで、消化器科に受診する患者さんは年々増加傾向にあります。
尚、当院における腹部超音波検査は不定期となっておりますので、事前にお問い合わせください。
食べ物や飲み物を摂取して、体内に必要なエネルギーを取り入れ、不要なものを排出する。この一連の流れが消化器の働きです。消化管といわれる口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門の他に、消化吸収に関わる唾液腺、膵臓、肝臓、胆嚢も消化器に含まれます。これらの消化活動に関わる多くの臓器を専門的に診察するのが消化器科です。
腹部の痛みや下痢、胸焼けなどの症状は生活していて誰もが一度は経験したことがあると思います。内科でのお薬で良くなる場合もありますが、消化器科でさらに詳しく検査、治療をすることで病気の早期発見や早期治療につながり、悪化を未然に防ぐことができます。当院では内科と消化器科が併設されていますので、よりスムースに治療の連携が行えます。
逆流性食道炎
日本人の食生活の欧米化、体質の変化、高齢化、ストレス社会などの社会的背景から逆流性食道炎と診断される患者さんは昨今急激に増加しています。
逆流性食道炎とは、胃液の中の胃酸などが逆流し食道の粘膜に炎症を起こす病気です。本来食べ物や飲み物を摂取すると、食道から胃につながる噴門を取り囲む下部食道括約筋が正しく弛緩、収縮することで胃に内容物を送り込み、逆流を防いでいます。この下部食道括約筋が何かしらの原因でうまく働かなくなったり、胃酸の分泌量が過剰になった時に胃酸など内容物が逆流してしまいます。胃酸は強酸性の液体なので食道が荒らされてしまい炎症を起こします。
逆流性食道炎の代表的な症状は胸焼け、呑酸(どんさん)(酸っぱいものが胸や口にこみ上げくる症状)、胸のつっかえ、胸痛です。そのほかゲップ、声のかすれ、胃もたれなどの症状も起こすことがあります。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群の患者さんも近年増加傾向にあり注目されている消化器系疾患の一つです。過敏性腸症候群とは、小腸や大腸にポリープや異常がないのに下痢や便秘を繰り返します。下痢や便秘の他にお腹のはり、腹痛、吐き気、嘔吐などの症状もあり、仕事や学業など日常生活に支障をきたし、生活の質(QOL)を低下させる原因になります。自律神経の乱れが主な原因とされ、精神面、身体面のストレスを感じると症状が起こります。
過敏性腸症候群の症状は他の消化器系疾患の症状と重なりますので、消化器内科でしっかりと検査し、クローン病や潰瘍性大腸炎など他の疾患の可能性がないか調べます。
大腸がん
大腸がんは日本人の罹るがんの中で男女共通部位では一番多く、認知度の高いがんです。大腸がんは結腸、直腸にできる悪性の腫瘍です。ほとんどは良性のポリープががん化したものですが、腸の粘膜から直接発生するがんもあります。
大腸がんは初期の頃は症状がほとんどありません。便潜血検査がきっかけで発覚することが多く、血便、便が細くなる、下痢、便秘などの症状があります。またがんが進行してくると貧血、嘔吐、体重減少などがみられます。
胃がん
胃がんも大腸がんと共に日本人がかかるがんとして認知度が高く、かつては日本人のがん死亡のトップでしたが、胃がんの原因とされるピロリ菌の除去や定期検診、人間ドックの普及などにより死亡数は減少傾向にあります。
胃がんは胃壁の粘膜、筋層、漿膜(しょうまく)まで徐々に広がっていきます。粘膜から粘膜下層に留まっているがんは早期がんといわれ、筋層や漿膜まで深く浸透しているがんは進行胃がんといわれています。胃がんの主な症状は胃の不快感、胃の痛み、腹部の張り、吐き気、食欲不振などです。
食道がん
食道は喉から胃まで通る25㎝ほどの細い管です。口から運ばれて来た食べ物や飲み物を胃の方に押し進める働きをします。食べ物を運ぶ役割のみで、消化機能はありません。
食道がんの多くは、食道内の中央部の粘膜にできます。進行すると粘膜の下層部から食道外にまで広がります。初期症状はほとんどないのですが、食道がんの特徴的な症状は食べ物がつかえる感じです。他には喉のかすれ、胸の違和感、咳などの症状があります。
肝硬変
肝臓は非常に我慢強く、「沈黙の臓器」と言われるように、自覚症状がないまま病気が進行していきます。肝硬変は肝炎など長く炎症が続くことで、肝臓の組織が繊維化して硬くなる病気です。C型肝炎ウィルス感染、B型肝炎ウィルス感染、アルコールが主な原因ですが、最近では非アルコール型の肝硬変も増えてきています。
肝硬変が進行すると肝不全や肝がんなど様々な合併症を引き起こします。黄疸(おうだん)や吐き気などの症状が出て来た時にはかなり重症化しているケースもあるため、定期健康診断、人間ドックなどで定期的に肝臓の数値をチェックすることが大切です。
胆石・胆嚢(たんのう)炎
胆嚢はなすび型をした袋状の臓器で、肝臓で生成された胆汁を一時的に貯蔵し、水分を濃縮します。脂肪分の多い食べ物が運ばれてくると胆嚢は収縮し、胆汁を十二指腸へ排出します。
胆汁が一定の比率で保たれず、余分に溜まったり余分な成分が多くなったり組成や割合に異常が起きると、胆嚢内に胆石を作るようになります。胆石が原因となり胆嚢炎を引き起こします。胆嚢炎は急性胆嚢炎、慢性胆嚢炎とがありますが、どちらも激しい痛みが症状としてでます。痛みの他に吐き気や嘔吐、高熱を伴うこともあります。
消化器科の検査は血液検査、尿検査、便潜血検査、腹部超音波検査、胃内視鏡検査、大腸内視鏡検査などの検査を行い、検査結果をもとに疑いのある病気の診断をします。特に胃内視鏡検査は胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、など多くの消化器系の病気の診断に役立ちます。当院では大腸内視鏡検査は実施しておりません。
検査の前にどのような症状があるのか、いつから、どのくらいの期間続いているかなど、細かい問診を行うことで必要な検査がより明確になってきます。
消化器科の治療は薬物治療が中心となりますが、胃がんや大腸がんなど手術が必要な病気もあります。病気によって、また患者様の状況によって治療方針は様々です。当院では患者様にとって最善の検査、治療を提案させていただきます。当院では実施していない検査もございますが、必要に応じて該当施設へ紹介いたします。気になる症状がある方や一度検査しておきたい方など、いつでもお気軽にご相談ください。