生体腎移植と献腎移植について

生体腎移植は腎臓提供者(ドナー)が両親・兄弟など身内よりの腎臓移植です。生体よりの腎移植ですのでドナーの2つの腎機能が同じ程度であることが必要で、さらに組織適合検査にて移植に適することを確認する事が必要であります。献腎移植は心停止あるいは脳死の患者さん(ドナー)よりの腎臓移植です。この様なドナーより腎提供の申し出があった場合に、日本臓器移植ネットワークを通じて、腎移植を希望している患者さんより血液型ならびに組織適合があっている方より選択されて腎移植がなされます。献腎移植を希望される方は、日本臓器移植ネットワークに献腎移植希望登録の必要があります。

献腎移植登録のための組織適合検査

献腎移植を希望される方は日本臓器移植ネットワークへ登録する必要があります。

腎移植手術について

腎移植手術は生体腎移植も献腎移植も原則的に右下腹部の骨盤腔に移植します。手術方法は腎臓の血管と足に行く血管の枝を縫い合わせる(吻合)ことと尿管と膀胱を吻合することです。手術時間は約4時間程度で、生体腎移植の場合は移植直後に最初の尿排出がみられますが、献腎移植の場合は少し遅れて尿の排出がみられます。

拒絶反応について

腎移植後、最も問題となるのが拒絶反応であります。拒絶反応には大きく分けて急性拒絶反応と慢性拒絶反応があります。急性拒絶反応は腎移植後約1~2カ月の間にみられる拒絶反応で、放置すると移植した腎臓が機能しなくなります。現在では急性拒絶反応の兆候が見られた時点で適切な治療によってほとんど改善します。慢性拒絶反応は退院してから数ヶ月より数年あるいは10数年後より次第に移植した腎機能が低下する拒絶反応でありその原因は未だ解明されておりません。

免疫抑制剤について

腎臓移植を施行後は拒絶反応を抑えるために、免疫抑制剤を服用する必要があります。この免疫抑制剤は移植直後には大量に服用する必要があります。経過とともに服用量は減っていきますが、移植した腎臓が生着している限り半永久的に服用していく必要があります。

腎移植の成績

腎移植をした後は全ての患者さんにおいて移植した腎臓が機能するわけではありません。前述したように急性拒絶反応あるいは慢性拒絶反応でせっかく移植した腎臓が機能しなくなる場合もあります。移植した腎臓が機能している割合を生着率といいますが、以前に比べ近年は生着率が良くなっています。